ハイライト
- COVID関連の入院は、肥満や糖尿病などの疾患に伴うリスクに対処するための臨床栄養製品が求められていることを浮き彫りにするものでした。
- 思慮のない食習慣が増え、身体を動かす運動の機会が減ったことで、タンパク質と繊維を供給し、満腹感を重視した栄養製品が求められるようになったのです。
COVID-19のパンデミックは世界の臨床栄養市場に重要な形で影響を及ぼしました。これが今後の世界に投げかける意味は決して小さいものではありません。臨床栄養製品の製造者が知っておくべきことは何かを考えてみましょう。
COVIDによる危機の中で、栄養は重要なテーマの1つになっています。栄養を土台としたCOVIDへの免疫系の強化から入院中のCOVID患者のサポートに至るまで、多様な内容が取り上げられてきました。臨床栄養の最前線に立って考えた場合、 COVIDの影響は多面的です。そのうちいくつかは、パンデミック後における臨床栄養市場にも影響を及ぼすのではないかと予想されています。
臨床栄養製品は、人工呼吸装置につながれたまま1~2週間の長期滞在を余儀なくされることも珍しくないCOVID入院患者にとって欠かすことのできないものです。COVIDの重篤な影響のリスクにさらされる人の中には高齢者や肥満、あるいは高血圧や2型糖尿病、心血管疾患などといった慢性疾患を有する人たちが含まれるため、臨床栄養ではこういった病態に固有のニーズにも対処しなければなりません。
COVID-19の急性後遺症とは、COVID後症候群やLong COVIDなどとも呼ばれ、新型コロナウイルス感染症からの軽快後に起こる可能性のある症状群をいいます。COVID後症候群には、だらだらと続く心炎や肺の問題、長期に及ぶ腎障害のほか、場合によっては2型糖尿病を発症することもあります。これらの問題は、COVIDの症状が軽かった人たちの間でも起こることがあるのです。
病院や他の医療施設がCOVID患者でいっぱいになり、優先順位が変わったことで、多くの施設では患者の待機手術を延期せざるを得ない事態になりました。このような状況に関連する誘因となったのは、病床不足、ソーシャルディスタンスの必要性、スタッフの減少と勤務時間の削減などです。パンデミック時における待機手術の減少は、術後栄養製品の必要性にも影響を及ぼしました。
COVIDによるロックダウンの際のストレス、社会的孤立、日常習慣の変化などにより、これまでと異なる摂食パターンに走る人が増えました。中には不健康なものも目立っています。何も考えずに間食したり、脂肪分や糖分の高い、多幸感を与えてくれる食べ物ばかり食べたりとパターンは多様ですが、これらはいずれも過体重/肥満やメタボリック症候群の一因になる可能性があります。(繊維とタンパク質に重点を置いた)満腹感のある栄養製品や減量のためのバイオアクティブ製品などは、こういった問題に対処するのに役立ちます。
パンデミックの間、高所得国では出生率の低下傾向が続きました。「ベビーバスト」と呼ばれる、この出生率の激減は、経済的に困難な時期や先の見えにくい時期に、カップルが子どもを持つことをためらう傾向が一因になっています。このため、臨床栄養市場では、出生前や出生後の栄養製品だけでなく、新生児や乳児向けの栄養製品の需要にも影響が現れています。
パンデミックの間、不安や抑うつを訴える人が急激に増加しました。このような状況は心身や社会の健康に影響を及ぼし、不眠症など、新たな健康問題の増加を引き起こしています。栄養は通常、多方面から精神衛生上の問題の治療にアプローチする一翼を担っています。健康的でバランスのとれた食事は重要であるだけでなく、ビタミンDやマグネシウム、ビタミンB群、鉄をはじめ、脳の機能に影響を及ぼす重要な微量栄養素を十分なレベルで確保するのにも役立ちます。
パンデミックの際には、おそらくストレスに対処するための手段として、アルコールの摂取量にも増加が確認されています。過度の飲酒には健康上多くのマイナス影響が伴います。時には臨床栄養によるサポートが必要になることも珍しくありません。栄養素の吸収を阻害し、栄養価の高い食物を摂らなくなるため、微量栄養素の欠乏が生じ、体重増加につながるおそれも考えられます。長期的に、心臓や肝臓の損傷を引き起こすだけでなく、発がんの可能性もあります。
COVIDによるロックダウンは、私たちの食行動や身体活動習慣に変化をもたらしました。過体重や肥満のリスク上昇に加え、運動不足によって筋肉や骨が弱ってしまう可能性が指摘されています。すでにサルコペニアや骨粗鬆症が始まっている高齢者にとっては、これは特に問題です。筋肉を形成し、骨量を維持するためのタンパク質やバイオアクティブ製品は、このような状況に重要な役割を果たせる可能性があります。
パンデミックに関わるサプライチェーンの問題や経済的な課題が食料の確保や価格に影響を及ぼしたことで、多くの人々の間に食料不足への不安が広がっています。低所得国の場合、このような状況は栄養不良の増加と連動しており、病気への抵抗性だけでなく、小児における適切な成長や発達にも影響を及ぼします。一方、高所得国では、持続的な食料価格の高騰により、栄養価を犠牲にしてでも安価な食料を求める行動が見られるようになりました。
今後、パンデミック時の不健康な習慣の増加が、特に栄養不足や過体重/肥満に関わる疾患をはじめ、臨床栄養製品によるサポートに対するニーズに影響が現われてくると予想されています。パンデミック後には待機手術の増加やベビーブームの可能性も予見されており、いずれも臨床栄養市場には動きが生じると考えられます。さらに、増加し続ける高齢人口のケアは、今後も臨床栄養製品の重要な焦点になっていくはずです。
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